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天野惠子

女性外来のパイオニア

日本に「女性外来」を根付かせたパイオニアとして広く知られる女性医師。

日本性差医学医療学会理事、性差医療情報ネットワーク(NPO)理事長として、性差医学」「女性外来」の考え方に基づいた研究とその普及活動に精を出す。性差医学医療の実践の場としての女性外来の普及に尽力。

現在も悩める患者やその家族と向き合う臨床の場に立ち続ける傍ら、情報メディア『女性外来オンライン』を立ち上げ、WEBサイトやYouTubeの他、各種SNSを活用しながら様々な情報を発信している。

プロフィール

生年月日:昭和17年11月16日生
現職名:財団法人 野中東皓会 静風荘病院 特別顧問
勤務先情報:〒352-0023 埼玉県新座市堀ノ内1-9-28/TEL : 048-477-7300(代表)/FAX : 048-477-7010)

賞与

平成2年10月 日本心臓病学会 上田英雄賞 受賞

学会活動

日本内科学会、日本心臓病学会功労会員、日本循環器学会、日本性差医学・医療学会理事、NPO性差医療情報ネットワーク理事長、日本循環器心身医学会理事

学位

昭和56年3月医学博士 (東京大学第 5569 号) 「実時間断層法ならびに末梢コントラスト法による三尖弁閉鎖不全の診断」

1967年~1993年、循環器内科医として東京大学医学部に所属。主に循環器領域の診断学(心音図、超音波)の研究に従事。

 

40歳代に、高校時代の同級生である女性の狭心症様発作に遭遇し、文献検索から「微小血管狭心症」を知り、臨床研究を開始。1999年、第47回日本心臓病学会で「女性における虚血性心疾患」と題したシンポジウムを行い、微小血管狭心症を始めとする、虚血性心疾患における性差について発信。

 

50歳代には、自分自身に起こった、動くことすらままならない程酷い更年期症状体験から、性差に基づいた内科的視点からの診療の必要性を確信し、そのコンセプトを提唱。その考え方を形にした「女性外来」は、2001年に創設された鹿児島大学および千葉県立東金病院の女性外来に続き、日本全土へ広がった。

2002年、女性の身体を統合的・総合的に診ることができる医療者を増やすことを目的に、性差医療・医学研究会を立ち上げ、2004年に第1回学術集会を開催した。2008年に、研究会は日本性差医学医療学会と発展し、現在に至っている。

 

現在、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人「性差医療情報ネットワーク(NAHW)」理事長を務め、「性差医学」「女性外来」の考え方に基づいた研究とその普及活動に精を出す傍ら、微小血管狭心症、慢性疲労症候群、重度の更年期障害などを発症し、有効な治療にたどり着けず悩む患者やその家族と向き合う臨床の場に、今も立ち続けている。

 

2021年には当メディア『女性外来オンライン』を立ち上げ、自身の経験に基づく様々な情報を発信中。

女性外来オンラインへの想い
私の専門は循環器内科です。私が40歳前半の頃のことです。私の高校時代の友人(女性)が「毎日、胸痛がある。産業医さんにニトロをいただいたけれど、頭痛がするだけで、胸痛はとれない」と相談に訪れました。心筋シンチも含む検査では全く異常なし。この時は、40代にして、某総研から子会社である派遣会社の社長として出向することになり、毎日、日中の業務を終えたのち、18時から21時までビジネススクールに通うという彼女の生活に無理があるのではと思い「狭心症のようだけど、証拠がつかめない。命が大事か、出世が大事か、どちらをとるの?」と話し、友人は派遣会社の社長業につくことを断りました。その後、更年期前後に胸痛を訴える女性が少なくないことに気づき、「どうも虚血性心疾患には男女差がある」と言い続けていました。1999年に横浜で開催された第47回日本心臓病学会学術集会で聖マリアンナ医科大学循環器内科村山正博教授が会長をされ、私に「天野さんはいつも男と女は違うと言っている。今回シンポジウムを企画してはどうか」と言っていただきました。私は、循環器疾患には性差だけでなく人種差もあると思っていましたので、「わかりました。出来るだけ日本人のデータを集めてシンポジウムを組み立てます」と多くの先生方にお声掛けをして、基礎から臨床に至るまで日本人男女の虚血性心疾患に関するデータを集めていただき、シンポジウムを開催し、翌年、医学書院から「女性における虚血性心疾患」として出版することもできました。2002年には、日本性差医学医療学会の前身である性差医療・医学研究会を立ち上げ、2003年3月14日に第1回学術集会を開催しました。以来、循環器内科・外科の先生方のみならず、内科の各部門、産婦人科、脳外科、泌尿器科、整形外科、麻酔科などの先生方の参加を得て、性差医学は順調に医学の世界で市民権を得てきました。
性差医学の実践の場である女性外来は、2001年に鹿児島大学医学部第一内科(鄭忠和教授の発案)ならびに千葉県立東金病院(堂本暁子知事の発案)で立ち上がりました。私は、堂本知事からの要請を受け、2002年から2009年まで千葉県衛生研究所所長 兼 千葉県立東金病院副院長として、練馬区から千葉へ往復6時間をかけて通いました。通勤時間はもったいないと思うものの、千葉県でやらせていただいた仕事の大きさには代えられません。女性外来は、性差医学・医療の実践の場であり、複雑で多岐にわたる症状に悩まされながら、医師にも、家族にも理解されず苦しんでいる女性たちの良き相談相手となり、性差を考慮した医療の実践をとうして問題の解決に当たることをめざしています。当初は更年期症状を訴えての受診がわずかに多いようでしたが、世間での女性外来の認知が進み始めたころより、若い世代での月経困難症、月経前症候群、メンタルヘルス等の相談がどんどん増え始めました。今ではどの世代を取っても、受診理由の2割以上が精神的症状によるものです。精神科や心療内科受診への敷居が低くなった今、既に、心療内科・精神科を受診している患者も少なくありません。しかし、多くの患者さんを診察して思うことは、精神科、心療内科の医師に内科疾患に対する知識の少ないことが治療のネックになっていると思われることがしばしばです。また、必ずしも、話しをきちんと聴いていただけないことも多いようです。
20年間、女性外来の普及・性差医療に関する情報発信を続けてきましたが、いまだ「性差を考慮した女性医療」は広く認知していただけたとは言えません。更年期前後の胸痛で私のところを受診される患者さんも後を絶ちません。 メタボ検診の前提は、「日本人の肥満が進行しており、そのことにより高血圧、脂質異常症、耐糖能異常が引き起こされている。今後の心血管疾患増加の抑制のために成人での肥満への介入指導を行わなくてはいけない」というものですが、確かに男性では、どの年齢層でも、年々、平均BMIが上昇しています。しかし、日本の女性では過去40年間、現在まで、世界で唯一年々平均BMIが減少し続けています。メタボ検診の前提が日本女性には当てはまらず、若い女性での“やせ”が実は深刻な問題化しているのです。メタボ検診に代表されるようにまだ日本の医療は、施策・診断・治療において性差の視点がきちんと導入されていません。女性の医療や健康に関するシステムは未だ十分に整備されているとは言えません。
私は、今年の11月で79歳になります。あと、どのくらい働ける人生が残っているのかわかりませんが、人生100年・男女共同参画の社会の中で、男女ともが健康を享受しつつ自分を生かせるよう提言を続けていきたいと思っています。女性外来オンラインでは、日ごろ私が診察室の中で患者さんを相手にお話していることを、そのままにお伝えしています。皆さんの心身の健康維持に少しでも役立っていくようでしたらこれに勝る喜びはありません。
略歴

千葉大学大学院客員教授(2014年まで)

秋田大学客員教授(2009年まで)

秋田大学医学部非常勤講師

千葉県衛生研究所所長兼千葉県立東金病院副院長

文部教官東京大学保健センター非常勤講師
/ 文部教官東京水産大学保健管理センター教授・所長

文部教官東京大学保健センター専門助手

東京大学第二内科入局(81年医学博士・東京大学)

内科レジデントNew York Infirmary(米国)

東京大学医学部医学科卒業

財団法人野中東皓会静風荘病院特別顧問

独立行政法人医薬品医療機器総合機構専門委員

鹿児島大学医学部非常勤講師

東京大学医学部非常勤講師(2003年まで)

文部教官東京大学保健センター講師

文部教官東京大学第二内科病棟助手

循環器フェローRoyal Victoria Hospital(カナダ)

医師免許取得(医籍第197673)

1967年4月 東京大学医学部医学科卒業
1968年8月 医師免許取得(医籍第197673)
1969年6月 内科レジデントNew York Infirmary(米国)
1970年12月 循環器フェローRoyal Victoria Hospital(カナダ)
1974年4月 東京大学第二内科入局(81年医学博士・東京大学)
1983年10月 文部教官東京大学第二内科病棟助手
1985年4月 文部教官東京大学保健センター専門助手
1988年7月 文部教官東京大学保健センター講師
1994年4月 文部教官東京水産大学保健管理センター教授・所長
1994年4月 文部教官東京大学保健センター非常勤講師
1996年4月 東京大学医学部非常勤講師(2003年まで)
2002年8月 千葉県衛生研究所所長兼千葉県立東金病院副院長
2002年10月 鹿児島大学医学部非常勤講師
2004年4月 秋田大学医学部非常勤講師
2004年5月 独立行政法人医薬品医療機器総合機構専門委員
2005年6月 秋田大学客員教授(2009年まで)
2009年4月 財団法人野中東皓会静風荘病院特別顧問
2010年4月 千葉大学大学院客員教授(2014年まで)

講演

今後の予定

過去実績

メディア出演・監修
テレビ・ラジオ 【NHK】あさいち 「女性に多い知られざる狭心症について」
【NHK】プロフェッショナル 「性差医療を広める活動に従事する本人密着」
【TV朝日】ビートたけしのホワイトホスピタル、ブラックホスピタル 番組内容一部の監修
紙媒体 ハルメク
日経ヘルス
STEP(NHK共済会)
self doctor
暮らしと健康
安心してかかれる女性外来病院ガイド(特別寄稿)
オンライン 【Vogueオンライン】天野恵子人物特集」
【Aging Gracefully】元SMAP稲垣吾郎さんとの対談
※内容多数の為ため一部抜粋、主要なもののみ
著書

女性の「コレステロール」「中性脂肪」はこうして落とす

PHP出版

薬なしでも女性の血圧は下げられる

PHP出版

女性外来のお医者さんが教える「更年期の苦痛」のやわらげ方

PHP出版

心臓病の治療と食事療法「組み合わせ自由な新レシピ付き」

日東書院

堂本暁子と考える医療革命・性差医療が日本を変える

中央法規

女性のためのコレステロールガイド

保健同人社

女性のための安心医療ガイド

素朴社

漢方は女性の健康を助ける

岩波書店

行き場に悩むあなたの女性外来

亜紀書房

良くわかる女性のからだ辞典

法研