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微小血管狭心症

更年期前後の女性が、ある日突然、急激な胸やみぞおちの痛みや圧迫痛に襲われることがあります。

それも、夜寝る前など、安静時に、何の前触れもなく、突然歯の痛みや首の締め付け感といった怖ろしい症状から始まり、みぞおちの痛みや胸の痛みへと進み、最後は、象に何度も胸を踏みつけられているような強烈な圧迫感と痛みを感じるようになることもあります。

心筋梗塞と全く同じ症状のため、救急病院を受診しても、何もわからない。

そんな症状が、日をまたいで、時には数日おき、時には数か月おきに発生します。

循環器専門医を受診して、各種検査をしても何も異常が見当たらない。そんな時は、微小血管狭心症を疑ってみてください。

この記事では、3分でわかる微小血管狭心症として、

更年期前後の女性に多い微小血管狭心症とは/更年期前後の女性に多い微小血管狭心症について/微小血管狭心症の症状と対策について/微小血管狭心症とは/微小血管狭心症って何?といった内容でこの病気を知っていただけます。

微小血管狭心症って、聞いたこと無いけど、どんな病気?
狭心症?ってこと?

それって、死にいたる病?怖いんだけど・・・こう思う方もいらっしゃると思います。

こちらでは微小血管狭心症について、わかりやすくお伝えしていきます。あなたの時間を3分だけいただければと思います。 

目次

what is "microvascular angina"?

微小血管狭心症ってなに?

狭心症という病気についてご存じの方は多いと思います。

図のように心臓に栄養を届ける血管、冠動脈の内側にコレステロールなどが溜まり、血管自体の柔軟性が失われ(動脈硬化)、血管の内側が狭くなり(狭窄)、血流が少なくなってしまうためにおこります。

血液が十分届かず、心臓を動かす血液が不足すると、「心筋虚血」(心臓の細胞組織に血液が不足している状態)になってしまいます。虚血状態になると、心臓から発するSOS信号として、胸痛か胸の圧迫感を感じるようになります。これが狭心症です。

ただし、この症状は、通常数分、長くても15分以内に消えてしまいます。

これが、一般的な狭心症です。

 

ちなみに、心筋梗塞というのは、この冠動脈の血管の内側が、溜まったコレステロールなどで完全にふさがれてしまい、6時間以上、血液が心臓に届かなくなると、心筋が壊死し、心筋梗塞という病気になります。

上記のような血管が狭窄して起こる狭心症とは別に、日本人に多い狭心症として、知られるようになってきたのが、冠攣縮性狭心症というタイプの狭心症です。

これは、狭窄による狭心症と違って、心臓に負荷がかかっていない状態で発症することが知られており、喫煙、睡眠不足、精神的ストレス、飲酒の翌朝、身体の冷え(寒冷刺激)、などが原因で引き起こされ早朝に多いのが特徴です。

男性に多い労作性狭心症、冠攣縮性狭心症

運動時に起こる労作性狭心症や、冠攣縮性狭心症は、冠動脈造影ではっきり診断できる狭心症で、女性より男性に多くみられます。

中年男性に心臓の表面を走る冠動脈の狭窄や痙攣によって起きる狭心症が中年女性に比べ多くみられるのは、女性ホルモンであるエストロゲンに、血管を保護する様々な作用(血管弛緩作用・脂質代謝改善作用・抗酸化作用など)があることによります。閉経前の女性と同年齢の男性を比べると、動脈硬化による虚血性心血管疾患が女性で少ないのは女性におけるエストロゲンの抗動脈硬化作用によるものと考えられています。

閉経前の女性のコレステロール値の平均が、男性のそれよりも低いのもエストロゲンの影響です。

しかし、閉経後にはエストロゲンの保護作用が消失し、女性でも虚血性心疾患が増えてきます。

画像に映らない、診断が難しい微小血管狭心症

皆さんはご存じでしょうか?これまでご紹介してきた、労作性狭心症や冠攣縮性狭心症とは違い、サイズの大きい冠動脈血管の狭窄や痙攣によらない狭心症があります。

それが微小血管狭心症です。

この微小血管狭心症は、発作時の心電図の変化も捕まえにくく、心臓カテーテル検査による冠動脈造影でも画像として検出できません。

非常に細い末梢の血管が一時的に収縮するために起こるもので、更年期前後の女性に見られることが多い狭心症なのです。

日本で初めて、性差の違いに着目した医療アプローチや女性専門外来の必要性を訴え、日本性差医療学会を立ち上げた、元東京大学附属病院循環器内科医で、現在、埼玉県にある静風荘病院にて女性専門外来を担当する天野恵子医師により、最初にこの病気の存在や、その特徴などが、日本の循環器医学界に紹介され、徐々にその病気や診断方法、治療法などについての知見や経験を持つ医師が増えてきましたが、まだまだ、多くの循環器科で、診断、治療をしてもらえる状況までには至っていないのが現状です。

微小血管狭心症の症状

他の心疾患に典型的な、みぞおちを中心とした短時間の胸部圧迫感がある方もいれば、そうした典型的な症状は無く、呼吸困難感、吐き気、胃痛などの消化器症状、背中や腰の痛み、奥歯や顎の痛み、のどを締め付けられるような苦しさ、耳の後ろなどへの放散痛、動悸など多彩な不定愁訴であることが多く、その持続時間も数分ではなく、数十分から、長い人では数時間に及ぶこともあります。

微小血管狭心症の発症のタイミング

冠攣縮性狭心症と同じく、安静時に発症することが多く、やはり喫煙、飲酒、ストレス、寒さ(体の冷え)などが、その痛みを誘発する原因と言われていますが、詳しいことははっきりとはわかっていません。

特にそれまで何の症状も無かったのに、突然寝る前、ベッドに横になってしばらくするとだんだんと症状が出てくるというケースもあります。

また、周期的に発作が起こるというケースもあるようです。

微小血管狭心症の原因

微小血管狭心症の定義は、弁膜症や心筋症などの心臓の病気がまったくない方で、直径が500μm以下微小な冠動脈が十分に拡張しなかったり、収縮しすぎてしまったりするために心筋虚血(心臓の細胞に十分に血液が届かず不足する状態)が一時的に起こることによって胸部圧迫感が、労作と無関係に安静時にも起こる狭心症とされています。その70%は女性が占めるといわれています。

この数値に関しては、500μミクロンではなく、最新情報では100μミクロンというのもありますが、臨床的にはやはり500μミクロンでいいと思います。

微小血管狭心症をご存じですか。 | 今月のトピックス | 公益財団法人 日本心臓財団 (jhf.or.jp)

微小血管狭心症の特徴

微小血管狭心症を発症する年齢は、30代半ばから60代半ばで動脈硬化による狭心症に比べると若く、最も多いのは40代後半から50代前半の女性です。

この時期はエストロゲンが減少し始める時期でもあり、子育てや仕事など、人生においても充実している時期でもありながら、一方で多くの負担を抱える時期でもあり、更年期前後で、微小血管狭心症だけではなく、多くの身体の不調を抱える時期でもあります。

微小血管狭心症の診断方法

微小血管狭心症は、その発作発生時も心電図の変化が殆ど見られません。

また、冠攣縮性狭心症のように、心臓カテーテル検査による冠動脈造影でも、はっきりとした冠動脈の狭窄を観察できません。

そのため、診断が難しく、多くの循環器外科、循環器内科、心臓専門病院においてでさえも、はっきりと診断されてないこともあります。

その症状を聞いた医師としては、一般的には、まず、

を疑います。

また、まれに、冠攣縮性狭心症と診断されてしまう場合もあります。

しかし、そうした場合に、処方される亜硝酸剤(ニトロなど)が全く効かないこともあるのが、微小血管狭心症の特徴の一つです。

胸痛なのかどうか診断がつきにくいときには、診断的治療として、亜硝酸剤(ニトロペンなど)を、発作時に試し、症状が良くなれば狭心症と考えて対応することがあります。

しかし、冠動脈の大きな部位の攣縮には特効薬である亜硝酸剤も、微小血管狭心症には効かないことも多く、その場合は、微小血管狭心症として治療を試すことになります。

微小血管狭心症と診断される前に、良く間違われる病気の種類

微小血管狭心症の患者さんが、微小血管狭心症と診断される前に、幾つかの病院にかかられた時、誤って診断されやすい病気が幾つかあります。

 

労作性狭心症

活発な活動時や急な動きの時、興奮時などに、微小血管狭心症と同じような症状が発生します。

階段をあがったり、力仕事をしたりするとき(労作)に起きる狭心症です。

冠攣縮性狭心症

微小血管狭心症と同様に、安静時に起こります。心臓周辺の冠動脈という太い血管で痙攣が起きる症状で、微小血管狭心症と同じような症状が、発生します。ニトロペンなどの亜硝酸剤系の薬を飲むとすぐに収まります。

逆流性食道炎

急激なみぞおちの痛みや胃酸の逆流感、胸やけなどの症状から、逆流性食道炎を疑われることもあります。逆流性食道炎の場合は、ガスター10などの薬を飲むことで、症状が緩和しますが、微小血管狭心症の場合は、症状は改善しません。

微小血管狭心症のチェックリスト

症状

発生タイミング

発生頻度

症状の持続時間

医療機関受診時の対応

これらに当てはまった場合は、微小血管狭心症である可能性が高いので、微小血管狭心症の診断と治療に長けた医師のいる病院を受診してください。

微小血管狭心症の治療方法

微小血管狭心症の治療方法は、カルシウム拮抗薬であるジルチアゼム(ヘルベッサー)が効果的なケースが多いです。

しかし、残念ながら、未だに、この微小血管狭心症という病気について詳しい医師は、循環器専門医の中でも多くありません。

そのために、亜硝酸剤を試しても効果が無い時には、心疾患(狭心症)とは診断されず、苦しい症状を抱えたまま、消化器内科や整形外科、心療内科、精神科と病院ホッピングをせざるを得なくなってしまうこともあります。

今後、今よりもさらに、微小血管狭心症についての研究が進み、確実に診断できる検査法が開発されることが期待されています。

微小血管狭心症のような症状が出た時に頼れる病院は?

性差医療情報ネットワーク(NAWH)に加盟する女性専門外来を担当する医師の内、内科医、循環器科医の医師のいる病院を受診するのが一番確実な方法です。

また、先ほどの微小血管狭心症についての権威である天野恵子医師がいる風荘病院には、全国から治療希望者が通ってきています。

全国の微小血管狭心症の診断、治療について相談できる病院はこちらから

微小血管狭心症の予後

女性の微小血管狭心症の多くは、カルシウム拮抗薬(ヘルベッサーなど)が良く効くことが多く、症状も抑えられます。

また、その後も、予防的にカルシウム拮抗薬を定期的に服薬していくことで、症状をコントロールできる場合が多いです。

造影剤などには映らないほどの心筋内の心臓周りの微小な血管における血管狭窄とは言え、放っておけば、その周囲の細胞に血液がいきわたらなくなり、その部分の心筋細胞が壊死してしまう恐れもありますので、放置せず、適切な対策を取ることが大切です。

微小血管狭心症は、一般的にはその後、心筋梗塞や脳血管障害などを起こすことは少ないといわれていますが、中には、比較的リスクの高い患者さんがおられます。

 微小血管狭心症と診断され、薬を予防的に服薬しても症状がなかなか収まらない場合には、微小血管狭心症や循環器症状について、専門的に診断治療を行っている施設で詳しい検査をうけて、冠動脈末梢血管の血管反応性の異常、心筋の虚血状態を調べてもらい、さらなる治療(血管拡張薬の追加処方、高脂血症などの治療、血管内皮反応性の改善薬の処方、女性ホルモンの補充など)を受ける必要があります。

微小血管狭心症の症状で苦しまないための方法とは?

微小血管狭心症で苦しむ患者様を減らしていくためには、医師や患者様自身はもちろん、まだそうした症状を経験していない女性の皆様も、あらかじめ、更年期前後の女性にこのような診断がつきにくい、微小血管狭心症という病気があるという事実を知っておくことが大切だと思います。

医師と患者様、双方に知識があることによって誤診や診断の遅れを回避することができます。

微小血管狭心症の予防方法

微小血管狭心症の予防方法はまだはっきりとはわかっていません。

しかし、微小血管狭心症の病気の主体は血管の内腔を覆っている血管内皮と考えられています。

ですからこの血管内皮に障害を引き起こす原因となる高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリック症候群などについては予防していくことが大切です。

微小血管狭心症の予防のために限らず、適度な運動と食事、大量飲酒や喫煙をしないこと、ストレスをため込まないなど、普段の健康状態を良い状態に保つことが、更年期に起こる様々な体調の変化を、より軽やかに乗り切ることにためには不可欠です。

食事面からは、エストロゲンに似た作用を持つイソフラボン(大豆などの食品に多く含まれる)が良いとも言われております。

豆腐はもちろん、味噌や納豆など、私たちが日常的に食べてきた食事の中には、多くの大豆食品があります。

サプリメントでも、大塚製薬株式会社から発売されている「Equell」や、更年期症状への有効性も明らかにされているメルスモン社、日本生物製剤の飲むプラセンタサプリメントも発売されています。

是非、色々な情報をご自身で精査して、ご自身にあった体調維持、健康管理の方法を見つけてみてください。