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東京大学医科学研究所等の研究チームが、1月15日米国科学誌サイエンスに、加齢に伴って体内に蓄積し、動脈硬化や脂肪肝などの病気を引き起こす「老化細胞」を効率よく除去する方法を見つけ、マウスの実験で加齢現象の改善を確認したと発表しました。細胞分裂が止まってしまった老化細胞は、体内に蓄積して軽度の炎症を引き起こし、臓器などの機能低下をもたらします。マウスの遺伝子を操作して老化細胞を除去すると、機能低下に伴う動脈硬化や腎障害などの発症が遅れることが知られていました。しかし、老化細胞にはさまざまなタイプがあり、効果のある薬剤の開発は困難でした。チームは、ヒトの細胞を使って老化細胞を人為的に作製。この細胞を使った実験で、アミノ酸の一種グルタミンの代謝に関わる遺伝子「GLS1」が老化細胞の生存に必要なことが分かり、正常細胞と老化細胞にそれぞれGLS1の働きを阻害する物質を添加したところ、老化細胞だけが死滅したのだそうです。この物質は、抗がん剤の候補物質として、患者に投与して有効性や安全性を確かめる臨床試験が進んでいる物質で、老齢のマウにGLS1阻害薬を投与したところ、様々な臓器や組織で老化細胞が除去できることも確認したとのことです。人間の年齢に換算すると、握力や免疫機能は60歳程度から30~40歳程度になり、病気をもたらす腎臓糸球体硬化や肺の線維化、肝臓の細胞炎症なども改善したとのことです。

東大医科研の中西真教授は「がんを含め、様々な病気に老化細胞が関わっている可能性がある。GLS1阻害剤の副作用を慎重に調べ、5~10年程度で臨床試験を開始したい」と話していらっしゃるそうで。この記事は、毎日新聞1月15日の朝刊で見つけたものです。これからどのように展開していくかわかりませんが、もし順調に筋書き通りに研究が進むならば、ノーベル賞級のとんでもない発見ですよね。

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