新型コロナワクチンのアナフィラキシーなどに対するガイドライン
日本アレルギー学会が、新型コロナウイルスのワクチン接種に伴う重度の過敏症に対する指針「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」をまとめ、2021年3月に改訂版を発表しました。
日本で承認されているファイザー社の「コミナティ筋注」に関し、指針では、
- 接種不適応者:
1.明らかな発熱を呈している者、
2.重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者、
3.本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者、
4.上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
を挙げています。 3.以外は一時的な接種延期で良いとしています。
「重度の過敏症」に該当する者とは過去に、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状を呈したことのある方です。ワクチンの成分(特にポリエチレングリコール:PEG)や、PEGと交差反応性を有するポリソルベートに重度の過敏症がある場合は、専門医の適切な評価と、発症時の十分な対応が可能な体制下でない限り、接種を避けるべきとしています。
- 接種要注意者:
1.抗凝固療法を受けている者、血小板減少症又は凝固障害を有する者
- 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
- 予防接種で接種後 2 日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
- 過去に痙攣の既往のある者
- 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある者
を挙げています。4.の全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を呈したことがある場合、および6.に該当する場合は、重度の過敏症に対応できる体制の下で接種し、接種後の観察時間も30分以上とするとしています。なお指針では、接種前に予防的にヒスタミンH1受容体拮抗薬を投与することは、アナフィラキシーの初期症状を不明瞭にする危険性があり好ましくないとしています。ただし、ヒスタミンH1受容体拮抗薬をほかの疾患に対し投与中の場合は、中止する必要はないとしています。