トランプ前大統領と科学の関係は尋常ではなかったですね。専門家の助言を無視し続け、コロナによる犠牲者を増やし続けたのですから。実は、米国大統領選が近づくにつれ、トランプ氏の新型コロナウイルス対策に対する論文・論説がどっと出てきていました。いくつかを紹介します。
1.フェイクニュース(誤情報)をけん引したのはドナルド・トランプ米大統領
新型コロナウイルスに関するフェイクニュース(誤情報)をけん引したのはドナルド・トランプ米大統領だとする論文が10月1日、米コーネル大学の研究チームによって発表されました。2020年の1月1日~5月26日に世界の英語の従来型メディアが報じた3800万本の記事を評価したところ、新型コロナウイルスのパンデミックに関する誤った情報を掲載するか増幅させたニュース記事は52万2472本に上り、「米国の大統領が、新型コロナウイルス感染症に関する誤情報の『インフォデミック』を最もけん引した人物である可能性が高い」と述べています。「インフォデミック / Infodemic」とは,「information epidemic」の略称で、誤った(または悪意のある)情報が拡散され,人々に混乱が生まれる現象のことを指します。
2.トランプ氏のコロナ対策はほぼすべての段階で失敗した
米医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」は、10月8日付論説でトランプ氏のコロナ対策について「ほぼすべての段階で失敗し、危機を悲劇に変えてしまった」と指摘。1.ワクチン開発を政治利用し、信用低下を招いた。2.専門家を無視し、規制当局に圧力をかけたなどと問題点を挙げたうえで、「リベラルや保守に関係なく、現政権は公衆衛生の危機に無能であることを示した。さらに多くの命を奪うことに加担してはならない」と主張し、トランプ氏へ投票しないよう呼び掛けています。1812年に創刊されて以来、初めての政治家批判とのことです。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe2029812
米国内で感染拡大が続く中、政治とは一定の距離を保ってきた科学誌が、現職大統領を強く非難するのは異例です。
3.トランプ氏は、科学を無視し、人々を傷つけた.
1845年創刊の一般向け科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」も9月15日「我々は175年の歴史の中で、特定の大統領候補を支持したことはなかったが、今年はそうせざるを得ない。トランプ氏は、科学を無視し、人々を傷つけた」とする声明を公表し、民主党のジョー・バイデン氏を支持する方針を明らかにしていました。
しかし、コロナ対策に関してだけなら、科学を無視し「私の政治的判断です」と言い続け、サイズの小さな布製マスクを国民に配布するという醜態をさらした日本の政治家も負けず劣らずというのが私の感想です。