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11月11日、国内では、新たに1533人の新型コロナウイルス感染が確認されました。1500人を上回ったのは8月8日以来で、過去最多の1605人に迫る水準でした。東京都では8月20日以来の300人超えとなる317人の感染が確認され、大阪府では、最多だった8月7日を上回る256人が陽性と報告されました。日本医師会中川会長は、札幌、大阪、東京での感染者が急増しつつあることに触れ、「国内の感染第3波到来と言っていいのではないか」とコメントされました。

 

そして、いよいよ第3波がやってきました。全国の感染者数が急激に増え始め、11月19日には全国の新規感染者数が、過去最多の2386人となり、東京都534人、大阪府338人など8都道府県で1日当たりの感染者数が最多を更新しました。全国での新規感染者数は直近の1週間(12~18日)では1万1296人確認され、その前の週にくらべ実に1.41倍スピードが増しています。

 

コロナウイルスは、21世紀の初頭までは、主に動物に病気を引き起こすウイルスでした。ところが、2002年にSARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルスが中国で発生し、それ以来人にも感染し、重症の肺炎を引き起こすようになってきました。今までに、コロナウイルスは50種類以上確認されていますが、人に感染するコロナウイルスは、2002年に流行したSARS、2012年に流行したMERS(中東呼吸器症候群)などに次いで、新型コロナウイルスが7番目です。新型コロナウイルスは、これまで人の間で流行したことのない未知の感染症のため、現段階では未解明の部分も多いのです。

 

今回は、ウイルスや細菌などの病原体から体を守る「免疫」のしくみについてお話したいと思います。外から侵入する細菌やウイルスなどの病原体、体内で発生するがん細胞に対して攻撃し、身を守る仕組みを「免疫」と言います。免疫システムを担うのは、白血球です。日頃私たちは意識することがありませんが、私たちの体の中では、細菌やウイルスから身を守るために、免疫に関わる細胞があの手この手で病原体と戦っています。免疫には、体内に侵入した異物を認識してただちに排除する「自然免疫」と、侵入した異物の情報をリンパ球が認識し、その情報に基づいて特定の物質を排除する「獲得免疫」の2種類があります。近年、自然免疫による異物の認識という段階がなければ、獲得免疫が始動しないことがわかり、自然免疫と獲得免疫が相互に補完して私たちの体を守っていることが分かってきました。

 

  1. 自然免疫:自然免疫は、健康な人には生まれつき備わっているものです。ウイルスや細菌は、粘膜(目、鼻、口、呼吸器や消化器)や皮膚から侵入しようとしますが、粘膜や皮膚は最初に病原体を阻止する物理的バリアです。またそこには病原体を殺す成分が存在しますので、化学的バリアでもあります。病原体が物理的・化学的バリアを通り抜けると、次に待ち構えるのが、病原体を食べて殺してしまう細胞「食細胞」です。これは細胞バリアと呼ばれます。食細胞は白血球の1つで、相手がインフルエンザウイルスであろうが何であろうが、好き嫌いなく大抵の病原体をやっつけます。食細胞の働きが強ければ、感染をここでせき止めることができます。その自然免疫で防ぎきれない時、獲得免疫の出番となります。

自然免疫の戦士たちには、主に4種類の細胞があります。みんな白血球の仲間です。

マクロファージ:病原体が侵入していないか常に監視し、発見すると病原体を食べたり、ほかの免疫細胞に「変なものがみつかったぞ」と知らせます。「大食い細胞」とも呼ばれます。その働きは、(1)見張りをして外敵を見つける(非自己の認識)、(2)みつけると食べて溶かしてしまう(貪食)、(3)外敵侵入の情報を本部に知らせる(ヘルパーT細胞への情報伝達サイトカインの放出、NK細胞の活性化)、(4)食べた相手の情報を取り出し、どんな敵かを明らかにする(抗原提示)、(5)戦場となった場所の死骸や塵を食べて片づける(清掃)。

樹状細胞:樹状細胞は、自然免疫と獲得免疫の間を取りもつ重要な細胞です。体内に侵入した病原体の情報をほかの免疫細胞に伝える「情報伝達のプロ」です。通常はマクロファージのように前線で見張りについて、敵が侵入すれば捕まえます。そして敵(抗原)の情報を解読し、作戦本部(脾臓など)に出向いて、獲得免疫チームに伝えます(抗原提示)。

好中球:自然免疫の主役ともいえる存在。体の中に入ってきた病原体が大好物で、マクロファージよりも食べる力が強い。マクロファージは敵を酵素で溶かしますが、好中球は活性酸素も使って溶かします。好中球は骨髄で作られ、血管で運ばれて、血管から組織間に出て働きます。好中球は大群で押し寄せて戦闘を繰り広げて、相手を食べて殺した後は自分も死んでしまいます(そもそも血液内における好中球の寿命は10時間程度しかありません)。戦場は細菌と好中球の死骸の山となります。戦場の後片づけはマクロファージ任せです。

NK細胞(ナチュラルキラー細胞):リンパ球にはT細胞とB細胞のほかに『ナチュラル・キラー細胞(NK細胞)』があります。NK細胞はその名前の通り「生まれついての殺し屋」です。身体を巡回して敵を発見次第殺します、自然免疫システムの中で最強の戦士で、殺傷力が高く、細菌だけでなく、ウイルスに感染している細胞や、毎日3000~5000ぐらいできるがん細胞も単独で直接破壊してしまいます。

 

  1. 獲得免疫:獲得免疫は、生後に獲得された免疫で、病原体の情報を記憶することができ、自然免疫は苦手とする血液中の小さな病原体や細胞内の病原体も攻撃できます。学習能力があり、病原体との戦いを経るごとにその働きが強くなっていきます。活躍するのは3つのリンパ球。

ヘルパーTリンパ球:獲得免疫における司令官。ほかの免疫細胞に様々な指令を出し、指揮を執ります。Bリンパ球に沢山抗体を作るように指示をします。

抗体とは、病原体を攻撃する武器のようなものです。Bリンパ球で生成された抗体は、病原体と結びつくと、病原体の力をなくすことができます。

  Bリンパ球:ヘルパーTリンパ球の指令を受けて抗体を作ることができる唯一の免疫細胞。抗体を作ってウイルスを攻撃します。

  キラーTリンパ球:ヘルパーTリンパ球の兄弟分。ヘルパーT細胞からの指令でウイルスに感染した細胞の中にいるウイルスを細胞ごと殺します。ウイルスは細胞外では増殖できず、生物の細胞に入って増殖するため、ほとんどのウイルスは細胞の中に存在しています。だが、抗体は細胞の中に入れないため、ウイルスが細胞に入ると手を出せません。そこで出番となるのが、キラーTリンパ球で、ウイルスに感染した細胞を見つけて、ウイルスを細胞ごと殺すように働きます。NK細胞の攻撃を逃れた感染細胞も殺します。

 

自然免疫と獲得免疫のイラスト

引用:「自然免疫」と「獲得免疫」って?|MREラボ – フォレストグループによる免疫力向上とMRE成分の研究レポート (mre-lab.com)

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