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ジェネリック医薬品(後発薬)について

2020年から2021年にかけて、ジェネリック医薬品(後発薬)を巡る事件が相次ぎました。

 

“ああやっぱり”というのが、私の気持ちでした。

 

厚生省が37のモデル国立病院に対して完全分業(院内での処方を減らし、院外処方箋受け取り率を70%以上にする)を指示した1997年以降、医薬分業が急速に進みました。

そしてもう一つ、医療業界に大きな変化がありました。それはジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及です。

 

ジェネリック医薬品とは、特許が切れた医薬品(先発医薬品)に対してほかの製薬会社が同等の効果ありとして発売する医薬品です。

 

厚生労働省のホームページには、「後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。後発医薬品を普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するものです。
このため、厚生労働省では平成25年4月に「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定し取組を進めてきました。さらに、平成27年6月の閣議決定において、平成29年央に70%以上とするとともに、平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする、新たな数量シェア目標が定められました。
この80%目標の具体的な達成時期については、平成29年6月の閣議決定において、「2020年(平成32年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する。」と定められました。目標の実現に向け、より一層、後発医薬品の使用促進のための施策に積極的に取り組んでいます。」とあります。

後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進について |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

2020年12月2日に厚生労働省から発表された後発医薬品の使用率は、2020年9月時点で、78.3%でした。医療費の伸びの抑制になることから、政府は利用を促していますが、先発薬志向が強い医師・医療者の間で敬遠されているのが現実です。実は、私もそのひとり、患者さんが自ら後発薬をお願いしますと言われたときには後発薬でお出ししますが、私自身は、原則先発薬で処方します。その理由は、やはり後発薬への信頼性に疑問を持っていたからです。

 

2020年12月、小林化工の経口抗真菌薬を服用した患者において死亡者を含む意識消失などの健康被害が報告されました。4月末までの調査で、この真菌薬は344人に処方され、245人の健康被害、1人死亡、38人が運転中の意識消失による事故を起こしていました。2021年に入ってからの調査で、抗真菌薬(イトラコナゾール)に睡眠導入成分(リルマザホン)が混入していたことが判明したのです。これが単なる製造工程のミスではなく、本来承認されていた工程と異なる製造を行っていたことに加え、この抗真菌薬を含む同社製品の7割超の薬品で、虚偽の製造記録や承認外の手順書が作られていたことも明らかになりました。また、試験結果の捏造は1970年代から行われていたことも判明し、2021年2月9日、福井県が医薬品医療機器等法に基づく116日間の業務停止命令と業務改善命令を小林化工に出しました。さらに、単に製造工程の不祥事にとどまらず、4月15日には、研究開発部門での製造販売承認申請に際してのデータ捏造があったことも明らかになり、12品目の承認取り消しとともに、あらたな業務改善命令をも受けることになりました。社外有識者による特別調査委員会報告書によれば、経営者は、違法製造を把握していながら、品質より出荷(売上)を優先し、問題を放置どころか、問題の指摘を指摘することも許さない企業風土があったとしています。 

 

さらに2021年3月3日、業界最大手の日医工に24日間の業務停止命令が下りました。同社は10年ほど前から、品質試験で「不適合品」となった製品を、製造販売承認書と異なる方法で「適合品」となるように処理して出荷していたことが、2020年2月の富山県と医薬品医療機器総合機構による立ち入り検査で発覚。2020年4月から2021年1月にかけて75品目を自主回収しました。ここでもこれらの法令違反を経営陣が把握していたことが明らかになっています。

 

その後も、製造工程の改善に時間がかかっていることなどから、現在も小林化工は業務再開に至っておらず、日医工は出荷再開の製品が58、出荷調整中の製品が162となっています。

 

また、業界団体が呼び掛けた自主点検でほかの複数のメーカーでも問題が見つかるなど、供給停止や出荷調整は幅広い種類のジェネリック医薬品におよんでいます。

中には、医療上、不可欠だと国が定める「安定確保医薬品」もあり、このうち副甲状腺機能低下症や慢性腎不全などの治療薬「アルファカルシドール」は半分近いシェアを占める共和薬品工業で国の承認と製造実態に齟齬が見つかり、7月から出荷が止まっていました。9月に入り、共和薬品工業は9月10日より徐々に出荷を再開することと、合わせてすべての要望に応えることができる十分な在庫量が確保できるまで出荷調整を継続させていただきたいとの状況説明をしています。加えて、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の流行期には、コロナ感染症で使用されるデキサメサゾン(日医工の正規品)などの需要が急増し、医療現場で供給不足になる事態に陥っています。これほど大規模な供給停止や出荷調整は前例がなく、一部の薬では入手に困難が出ています。

 

今後後発品の供給回復については、5年くらいはかかる可能性があるのではないかという意見も出ています。

 

ジェネリックに懐疑的な私ですが、今回、神奈川県立保健福祉大学大学院 坂巻弘之教授の特別寄稿に目が留まりました。そこには下記のようなコメントが掲載されています(untitled (ibaho.jp)

「確かに、 ジェネリックは「安かろう悪かろう」というメージは残っているといえる。そこで 品質面での信頼向上のため、ジェネリック普及策と併せてさまざまな品質確保策が講じられてきた。1998 年にはジェネリック医薬品の品質再評価が開始され、その後、主なものとしても、2007 年の「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」、企業への品質管理・安全管理体制徹底の通知などが行われた。 2013 年 4 月には、厚生労働省は、それまでのジェネリック使用促進の取り組みを継続・発展する「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマッ プ」を公表した。ロードマップでは新たな目標値として、ジェネリックが発売された市場においてジェネリックの数量シェアを 60%にすることが示された。そ の後、2017 年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」にお いて、2020 年 9 月までに 80%とすることとなった。ロードマップでも、品質確保、安定供給、情報提供の徹底が求められ、毎年、企業、医療機関を対 象に、問題発生や企業の取り組み状況のモニタリングが行われている。 国のジェネリック使用促進による量的拡大が行き過ぎの原因にあるとの意見もあるが、使用促進策に合わせて企業側の品質確保の取り組みも並行してきた。GMP 遵守はもとより、より高い品質の製品を供給するための技術開発や製造設備や新工場設置への投資を行ってきた企業も少なからずあると感じている。業界を代弁する立場ではないが、業界全体が、今回も事件を受けて、問題に対する「是正措置・予防措置」策定を含む品質確保の取り組みを開始しており、企業の取り組みを注視していきたい」

 

GMP省令とは、厚生労働省令である「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年12月24日厚生労働省令第179号)の通称です。 この省令では、医薬品や医薬部外品の製造所における製造管理や品質管理の基準を定めています。 GMP省令は、製品の製造管理と品質管理を定めることが主な役割です。 製造業をする上では重要な製品の安全性を確保し、消費者が安心して製品を使用するために、製造所が行うべきことを定めています。2021/05/02 · 厚生労働省令第90号によってGMP省令が改正される旨の官報が出ました。2021年8月1日から施行されました。もちろん、こうした改正には、近年、行政処分が相次ぐGMP違反で、経営陣が事態を把握していない、または事態を把握しているのにもかかわらず改善を行わず、隠蔽が行われていたケースが背景にあります。今回の薬機法改正では、経営者の責任が強く問われるようになります。

 

日本人は規則をきちんと守り、手を抜かないというモノづくり文化がありました。その気概は何処に行ったのでしょう。さらなる品質確保の取り組みを企業に切にお願いします。

16年ぶりの大改正「GMP省令」改正の主なポイントは | AnswersNews (ten-navi.com)

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